ネットワークに,そのコンピューターを走らせよう。世界を光の速さで泳いで,言葉をおぼえていく,学んでいく。人間が何百年生きても得られないほどのテキストと会話を経て,そのコンピューターは,なにをしゃべるだろうか?
アーティフィシャル・インテリジェンス・エンタープライゼスの科学者たちが,学習アルゴリズムで,人間と会話することで言葉の使い方を学んでいくコンピューターを開発した。実際に話した人は,まるで子供を相手に話しているように感じるという。
IM(ウインドウズのIME,またはFEP)はエルゴソフト社のEGBRIDGEを使っている。先日,たぶんマックOSクラシックでは最後となるだろうアップデートがあり(ver11.5,ver12はOS Xで登場となる),今はそれを使っている。同音異義語の意味を表示してくれたり,同義語や和英辞書となってくれたり,なんだか頭で考えるよりもIMの気の向くままに言葉が紡ぎ出されてくる気もしたりして。だが,それらは,IMやコンピューターが意味を理解しているわけでは_まったく_なく,ただ,データベースから一致したものを引き出しているだけに過ぎない(ATOKの宣伝文句は常に誇大広告だ)。
日本語は,とりわけ微妙なバランス感覚を必要とする言葉であると思っている(決してそれは優位性ではないけど)。主語も動詞もなくても行動をあらわすことができるし,語感で伝わることも多い。言葉の意味はとことん限定されていなくて,如何様にも転がせる。で2回転までは表現が伝わるけど,3回転させるとまったく意味をなさない,とか。この微妙なバランス感覚は,非常に楽に相手に自分の意志を伝えることや,表現することが可能となる。さて,日本語を学んでくれるコンピューターはいつ生まれるのだろうか。実はドキドキするほど待っていることなのかもしれない。私は,いちばん最初になんと問い掛けるのだろう。そして,彼は,なんと答えてくれるのだろう。彼をネットワークに旅立たせ,1日の間に,どれだけの言葉を使えるように,なるだろう。
|